みなさんには「趣味」がありますか?
「正直、趣味と呼べるものが無い」という方は少なくないのではないでしょうか。
ゲームは好きだけど短期間で飽きちゃう、毎日YouTubeを見てるけど趣味かと聞かれたらそうじゃない気がする、とにかく今は仕事のことで頭がいっぱいで趣味なんかに時間を割けない…等、いろんな理由があるとは思うのですが。
趣味がないことが悪いわけではありません。インターネットが発達している現代には、無料で楽しめるコンテンツがそこらじゅうに転がっています。YouTubeと、Twitterと、Instagramがあれば、帰宅してから寝るまでの時間を楽しく過ごすことができますからね。
でも、だからこそ、居場所感を得るのが難しくなっている気がします。みんなが同じことをやっていて、でもそれが面白くて、わざわざ他のものを探しに行く必要性も感じないんだけど、なんか孤独…みたいな感じ。
そんなときに手を差し伸べてくれるのが、趣味なんだと思います。
自分が心から楽しめて、打ち込めて、できるならそれに共感してくれたり、「好きで居ていいよ」と言ってくれたりする人がいること。それが毎日を生き抜くための土台として機能することがある、気がしています。
さて、なんだかイヤらしい導入になってしまいましたが、結局は「趣味を持ってる人はなんだか楽しそうにしているよ」ってことが言いたいのです。
そこで今回ご紹介したいのは、「高崎怪談会」。この怪談会をとりまくコミュニティが非常に面白いのです。
以前も記事にしましたが、このたび7月6日に前橋臨江閣で開催された会にご招待いただき、久しぶりに参加してまいりました。
会場は、明治17年に建てられた重要文化財
16回目の開催となる高崎怪談会、その会場は前橋公園近くにある臨江閣(りんこうかく)。本館、別館とありますが、今回は歴史の深い本館で行なわれました。
本館のほうは明治17年に建てられたそうですが、その直前には廃藩置県がありました。「群馬の県庁所在地は前橋だ!」「いやいや高崎っしょ!」とモメていたころです。最終的には当時の前橋プレイヤーたちが県に尽くしまくって前橋に決定したらしいですが、そのころに迎賓館として臨江閣が建てられたそうですね。
こんなガチの重要文化財となると当時も大金が絡んだだろうから、そういう意味では色んな怨念が憑いてそうで良いですね。良くはないか。
1階と2階で怪談が同時に語られる「フェス」スタイル

開演を前にぞくぞくと集まるファンのみなさん
今回の怪談会の何が面白いって、臨江閣本館の1階と2階が共に会場になっていて、怪談がフェスのごとく語られることなんですよ。
語り手は怪談作家の戸神重明さん、同じく怪談作家の宇津呂鹿太郎さんとしのはら史絵さん、人形劇俳優の高橋幸良さん、人形工芸師のマリブルさん、ゴールデン街ホラーズという怪談師ユニットの1人夜馬裕さん、浄霊師の江連美幸さん。肩書きのラインナップがパワーすぎる。
ファンの方に聞いたところ「その筋では有名な方が集まっている」とのことで、それイイ筋だな!と思いました。昼の部・夜の部とありましたが、合計で100名以上の来場があったのも頷けますね。
僕は昼の部に参加したのですが、夜の部は写真の倍近くいらっしゃったそうです!

怪談作家・戸神重明さん

人形劇俳優・高橋幸良さん
まずは戸神先生が挨拶をし、そこから続々と怪談が語られます。語り手ひとりが1〜2話喋ったら、すぐに次の方が現れて話し始める。休ませてくれません。

怪談作家・しのはら史絵さん
廃病院のガラス工房の話、携帯の着信の話、たけしさんの話…と色々な怪談がありましたが、まだ昼だってのにバチクソに怖い。
今回語られた怪談には著作権があるので詳しい内容は書けないのですが、人から直接語られる「怖い話」ってなんだかゾクゾクしますよね。
「怖い話」は、人に喋りたい

ゴールデン街ホラーズ・夜馬裕さん
怪談。なんで怪談なんだろう。と、ふと思う瞬間がありました。
よくよく考えてみたら科学は十分に成熟しているし、最近は心霊番組も放送されなくなりました。
霊、怨念、呪い、あの世、妖怪が本当に存在するのかどうかを問われて、自信を持ってYESと答える人は少ないのではないかと思います。

怪談師・宇津呂鹿太郎さん
それで、休憩時間にファンの方に聞いてみたんです。「どうして怪談会に参加されたのですか?」って。
すると、「他の常連の方と話したいエピソードがある」と答えてくれた方がいました。
そこで気づいたんですよね、ああ、確かに怖い話って共有したいよねって。
思えば、僕も先日こんなエピソードがありました。
渋川市でとある取材をしていたら、建物の外に首が吹き飛んだバズ・ライトイヤーが落ちていて、「縁起悪いな〜w」と思って一眼で写真を撮ろうとしたんですね。
そしたら、愛用していた単焦点レンズを落として破損しちゃったんですよ。
それだけならまだ良いんですが、その翌日に39.6度の高熱を出してうなされ、熱がおさまったと思ったら軽度のぎっくり腰になってしまったんです。マジで死ぬかと思った……。
これが実際にバズ・ライトイヤーの呪いかどうかは分かりませんけど、呪いって思いたいし、言いたくなりません?(現に僕はずっとバズの呪いと言い続けてます)

除霊師・江連美幸さん
怪談の魅力って、これだなと思ったんです。なんだか分からないけど怖い話って、人に喋りたいんですよね。
それを怪談作家に提供すれば怪談話にしてくれるかもしれないし、霊能者に相談すれば腹落ちする着地点を教えてくれるかもしれない。ファンも怪談が好きだから、熱心に聞いてくれる。これが面白い。
人と人が恐怖で繋がっている。ここまでしっかりとインタラクティブになってるコミュニティって、貴重ですよね。

人形工芸師・マリブルさん
だから、今日まで怪談は語られ続けるし、そこに人が集まるようになっている。怖い話でプロフェッショナルとファン、ファンとファンが繋がり、みんながゾクゾクしながら楽しめるんですね。
もし、なんだか毎日が空っぽのように感じてしまうのであれば、それはこうやってコミットできる場が見つかっていないから、なのかもしれません。興味があれば、「恐怖」で他人と繋がってみるのも悪くないとは思いませんか。
僕もすっかり怪談の魅力に取り憑かれた身なので、また時間が取れたら参加しようと思います。
あのときの、あの話を持参して。
怖い話が聞きたくなったら、話したくなったら、ぜひ高崎怪談会へ
この高崎怪談会は、かなりハイペースで開催されています。ほんとうに怖くて楽しいのでオススメです。
以下は次回以降の開催のお知らせ!
7/27(土)怪談昆虫記
- 主催:戸神重明(怪談作家)、上和田照吾(成田山高崎分院住職)
- ゲスト:夜馬裕(怪談師)
- 日時:7月27日(土)、18時開始~20時終了予定(盛り上がった場合、時間延長あり)
- 入場料:無料
日本初、昆虫怪談だけを語るイベント。ニッチの中のニッチジャンル。クレイジーすぎる…!
※予約制です。詳しくは戸神先生のブログからどうぞ
8/3(土)高崎怪談会17
高崎怪談会17〜成田山恐怖祭り〜
- 主催:戸神重明(怪談作家、出演あり)、上和田照吾(成田山高崎分院住職)
- 出演:しのはら史絵(女流怪談作家)、高橋幸良(人形劇俳優、やまねこ座)、山邊賢治(画家、絵画教室講師)
- 日時:8月3日(土)
- 21時開場、21時30分開演~24時頃終演予定(終演後にサイン会あり)
- 会場:成田山高崎分院光徳寺(群馬県高崎市成田町23)
- 入場料 予約2000円、当日2500円
- 募集定員 80名
高崎怪談会本編の次回開催はこちら。今度は寺!達磨寺のときも思ったけど、寺は怖いんです。バチ当たりそ〜!と思いながら怪談聞くのはクセになる。
※こちらも予約制です。詳しくは戸神先生のブログからどうぞ