【大切なことを残して伝える。goomaのWEBコンテンツ制作】詳細はこちら

【惰性で麺を食うな】チェーン店のラーメンを大真面目にレビューしてみる おおぎや編

前回レビューはこちら

【惰性で麺を食うな】チェーン店のラーメンを大真面目にレビューしてみる 幸楽苑編

 

最近のオレはといえば緊急事態宣言が出る前くらいから外食を控えていて、ほとんど毎日自炊かスーパーの惣菜弁当。たまにびっくりドンキーのテイクアウトといったそれなりに豊かっぽい食生活。

どんなに少なくても週3日は外食していたのに突然自宅で包丁を握るのが当たり前の暮らしになってしまい、普段なら絶対に作らない豚の角煮やカレーなどの時間がかかる料理にも挑戦するなどして「なんかこの生活も悪くないな」と思い始めた矢先、緊急事態宣言が解除。ゼロヒャクではないものの、この奈落を耐え抜いた多くの飲食店が再オープンしてお客が来るのを待っていた。

今だからこそ、おおぎやを食う

ここであえて選ぶのが、おおぎやラーメンなのだ。群馬県民が惰性で食う店No.1として名高い(当社調べ)この店を、あえて自粛明け一発目にチョイスする。

「今日はおおぎやでいいや」ではない。「今日はおおぎやを食う」。

 

群馬県安中市に本社をかまえるおおぎやラーメンは群馬県民のソウルに「味噌ラーメンとはこういうもんだぜ」という文化を刻み込んだ偉大なチェーン店で、群馬県を中心に約60店を展開している。群馬県民からすれば味噌ラーメンとは「おおぎやの味噌ラーメン」のことで、他のチェーン店や個人店の味噌ラーメンはおおぎやをベースに評価されることになる。

 

おおぎやの味噌ラーメンの特徴は、黄色い中太縮れ麺、味の濃い味噌スープ、そしてデフォルトでトッピングされる生にんにく。パワー型のジェットストリームアタック。窓際に置かれ続けたせいでコミック版ブラックジャックの顔みたいな配色になっているメニュー表は愛嬌たっぷり。

 

意識的なラーメン屋

ランチメニューを見返す。商品の価格が中途半端なのもおおぎやの特徴だ。4種のランチセット、自分が企画担当だったらあくびをしながら「まあ800円でいいや」にしてしまうところだが、おおぎやは812円なのだ。一桁台までキッチリ金額を設定してくる真面目さ、ぬかりなさ。おおぎやは我々が想像するよりずっと「意識的なラーメン屋」なのかもしれない。

 

そして、濃いめの味付けとは裏腹に中高年に人気のラーメン屋でもある。客も中高年ならスタッフも中高年ということで、自分を除けば店内の平均年齢は50歳くらいに見える。しかし流れる有線は最近のヒットソングなのであり、面白いくらい客層と噛み合っていない。キングヌーと米津玄師とあいみょんが虚しく響く。いや…逆に中高年層が最新の曲を知る出会いの場なのかもしれない。想像力のある人間になろう。

 

父親のようなラーメン

ランチセットを注文したら烏龍茶が届いてびっくりした。よく見たら812円の下に小さく書いてある、これはもう少し主張してもいい気がする。

 

ラーメンと半チャーハンのセットが到着。特にスープが溢れそうな量でもないのに丼の下にコースター的に皿を敷くというこだわりがちょっぴり嬉しい。

 

ねぎ、もやし、コーン、生にんにく、七味唐辛子の山。

 

そしてかん水の入った黄色い中太麺。もっちりした食感で塩気の強い味噌スープにも負けない。

 

そういえば今回食べにきたのは、おおぎやラーメン前橋小島田店。今からちょうど7年前、大学1年生のときに心不全で急死した父親と最後に食べにきたラーメン屋である。

金沢に単身赴任中だった父親がひょこっと帰ってきて、ラーメンをおごってくれて、受験でうまく行かなかった自分に「まあ大学は入学してからが大事だから、がんばれよ」と一言残してまた金沢へ戻っていった。だから父親と最後に会った場所がおおぎやになった。それまで学業のことで何度も叱られていたので、この日にやっと和解できた気がして、父親と酒を酌み交わす未来などをちょっとだけ想像した最後の日であった。

 

 

ラーメンの食べ歩きをしはじめた頃の自分は、たぶんチェーン店を見下していた部分があった。特に理由も考えず、なぜか「やっぱり個人店でしょ」みたいなマインドがあった。だけど大人になった今、チェーン店のラーメンの良さに気づく。

この現象は、一部の親子関係に近いのかもしれない。一度は家族という縛りを鬱陶しく感じ、親以外の大人が輝いて見えることがある。しかし親元を離れたり、いろいろな大人のあり方を知ったりして、もう一度親の顔を見たときにすべてを理解するのだ。

世の中にはいろいろな家族の形があるから一概には言えないが、こうやって「一周回って」物事を評価できるようになることが大人の基準のひとつかもな、と思った。