『昆虫食』という言葉を知っていますか?
または、『昆虫食』と聞いてどのようなイメージを持たれるでしょうか?
僕が昆虫食と聞いてまず初めに思い浮かぶイメージは
「いただきまーす!」と、昆虫を生きたまま、もしくは素揚げなど簡易的な調理方法で昆虫の姿形を崩すことなく、ゲテモノとしてテレビなどのメディアでタレントが口の中へ虫を放り込む様子です。
そんなことを思いながら、2020年8月15日に開催された『コオロギレシピグランプリ〜THE FINAL〜』に参加してきました。
コオロギレシピグランプリとは、高崎経済大学発のベンチャー企業である「FUTURENAUT合同会社」主催で、コオロギ好きの、コオロギ好きによる、昆虫食を広めるための大会です。今回はそのファイナル。応募されたコオロギレシピから選りすぐりの16品を食べ比べ、コオロギレシピのNo.1を決定します。
応募総数はなんと372点ということで、世の中にはコオロギをより美味しく食そうと多くの方々が料理を研究しているということに驚きました。
料理が提供される前、FUTURENAUT合同会社代表・桜井さんより「今回のグランプリは、タイで生産されたヨーロッパイエコオロギをパウダー状に加工したものを使用する」と説明がありました。昆虫を姿かたちそのまま食べるものではないのか…と、昆虫を食することへの抵抗感が若干薄らぎました。
審査員席には昆虫料理研究家・内山昭一さんの姿も。内山さんは開口一番に「コオロギ専門の試食会は珍しいですね。ちなみに私はコオロギならタイワンコオロギが美味しくて一番好きです」と仰っていました。
桜井さんも「確かにタイワンコオロギは美味しいですね」と言っていて、コオロギを食べたことのない僕は食文化の違いに、自分は別世界にいるのではないかと錯覚させられました。
内山さんが「この中にコオロギを食べたことがない人はいますか?」と質問したところ2人しか手を上げず、皆さんコオロギを食べ慣れているようで驚愕しました。
さてみなさん、「このグラタンには『コオロギ』が入ってるんだよ」と言われて信じられますか?
コオロギをパウダー状に加工したものを料理に混ぜているため、コオロギが入っているなんて言われてもわかりませんよね。
味はというと、クリーミーなグラタンの中にエビのような味、それでいて優しいワイルドさを感じる風味が鼻を通っていきます。
これが『コオロギの味』なのか……。
こちらは冷製ポタージュ。
そう、コオロギは冷たい料理にも合ってしまうんです。
オレンジジュースにも合う。
コオロギパウダーの風味や食感も残しながら、オレンジの爽やかさも味わえます。
なんと、ケーキなどのデザート系にも。
料理として見た目も良く味も美味しい。コオロギってとても魅力的な食べ物で、無限の可能性も秘め、なんで今まで食べられてこなかったのだろう、とさえ思うほどでした。
そして、栄えあるグランプリを受賞したのは『大地のパスタ~コオロギとゴボウのペペロンチーノ~』でした!
このペペロンチーノも、コオロギとゴボウの風味、そして水菜のシャキシャキ感のバランスが良くとても美味しかったです。
閉会を迎え、桜井さんは「今後も抵抗感のない昆虫食を考案、提供していけたらいいなと思う」と仰っていました。
僕自身、取材する前は昆虫食に対する抵抗感や不安感がありましたが、実際に食べた後だと「もっと色々な昆虫を、もっと様々なレシピの昆虫食を食べてみたい」と考え方を変えさせられる取材でした。
昆虫食初心者の方は、コオロギパウダーから入るのがオススメかもしれません。
FUTURENAUT合同会社